近年では、家庭内での主に夫から妻への暴力が社会問題となっており、女性による離婚調停申立ての実に3割近くが、夫による身体的暴力(身体的DV)を理由としています。いまやDV被害は決して珍しいものではありません。しかし、DVを理由に離婚請求するには慎重な対応を要します。離婚を突き付けられたことにより、場合によってはDV行為が悪化することが懸念されるためです。そこで本記事では、DVをする相手と離婚する場合の注意点をご紹介します。
そもそもDVとは、配偶者や交際相手から受ける心身への家庭内暴力をいいます。典型例として認知度の高い、殴る・蹴るといった肉体への攻撃にあたる身体的暴力のほか、言動により精神的苦痛を与える精神的暴力、無理やり性交渉を強いるなどの性的暴力、生活費などの必要不可欠な金銭を渡さない・無断で預金を使い込むなどの経済的暴力が、DVの種類として挙げられます。
離婚するためには、問題となっている事項が法定離婚事由に該当しなくてはなりません。DVについては、それ自体は法律に規定されていませんが、民法770条1項5号に規定された離婚事由の一つ、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると考えられています(その程度により、該当しないと判断される場合もあります)。
DVを理由として離婚をしたい場合、注意点は大きく2つあります。
⑴証拠収集は必要不可欠
夫婦の話し合いのみで解決できる協議離婚が成立する場合はともかく、調停・審判・裁判により離婚を争う場合には、DV被害を受けたという確実な証拠を裁判所に示す必要があります。DVは明確な定義もなく、外観上はDVの存在が見えない場合も多いため、証拠を示すことでDV被害者の主張を根拠付ける意味合いを持ちます。証拠としては、ケガをした場合はその写真や病院の診断書、DV時の録音のデータ、警察や各種相談機関への通報・相談記録、DV日時や内容などを具体的に記した日記などが有力です。
⑵身体の安全の確保
冒頭にもお話したように、離婚を切り出されたことで逆上する加害者も少なくありません。まずはご自身、お子様がいる場合にはその身の安全を確保することが最優先のため、離婚を持ち掛ける前に、弁護士もしくは配偶者暴力相談支援センターにご相談いただくことが大切です。
配偶者暴力相談支援センターでは、被害者の一時保護や避難シェルターの利用の支援をしています。それ以外に別居手段がある場合や、裁判所による命令(DV加害者に対し、被害者に接触することを禁止するなどの命令)の発布を受けたい場合、その他ご不安な点があり専門家のアドバイスを得たい場合には、弁護士にご相談いただければサポートいたします。
離婚事由がDVの場合、話し合いがスムーズに進まないことも多々あるだけでなく、財産分与や慰謝料請求、安全確保など、様々な問題が生じます。DV被害を受けていると思ったら、まずは各種機関に相談した上で、できる限り安全に、かつ迅速に離婚を成立させるため、専門家へご連絡ください。
柳原法律事務所は、東京都武蔵野市、杉並区、渋谷区を中心に、東京都(23区外も含む)にお住いの皆様から、個人のお客様の場合は離婚、男女問題、相続、不動産、一般民事事件、法人のお客様の場合は主に顧問契約にかかるご相談を承っております。お困りのことがございましたら、当事務所まで是非お気軽にご相談ください。最適な解決方法をご提案させていただきます。
DV(家庭内暴力)をする相手と離婚するには
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