熟年離婚
近年話題に上るようになってきた「熟年離婚」ですが、法的な定義というものはありません。ここであえて定義するならば「長年連れ立った夫婦の離婚」ということになるかと思います。熟年離婚の原因は様々ですが、小さな不満が長年蓄積していながら、離婚に踏み切るまではいっていなかったものの、例えば夫が退職したからとか、もう子を育てる必要はなくなったとか、夫婦にとっての一緒に協力して生活を送ることの主たる理由だったものが消滅したような場合、今後は人生をともにしたくないと思うように なり離婚を希望するというのが多いと思います。妻からというのが多いようですが近年夫からの熟年離婚も増えてきているようです。
熟年離婚と通常の離婚をあえて区別するとすれば、通常の離婚はまだそれぞれ働いたり子育てをしたりと先の人生が 長くいろいろなことが起こる可能性がある中での離婚であるのに対し、熟年離婚は双方ともに高齢となっており、離婚後に就労を頑張ることは難しく、老後の心配がすぐそこまできているという中での離婚であるということだと思います。
では、例え ば夫が退職金を得た後に熟年離婚をした場合に、主な収入をなくした妻は生活費をどのように賄えば良いのでしょうか。まずは財産分与請求(民法768条)をすることが考えられます。財産分与とは、夫婦間の共有財産の清算が第一義的な目的ということになります。
婚姻中に配偶者の一方が自己の名で得た財産はその人の特有財産となりますが(民法762条1項)、それに対するもう一方の共同生活の内外における貢献というものが財産の帰属に反映されていません。そのため、離婚にあたり、夫婦間においては名義にと らわれず実質的に考えて財産の清算をするというのが財産分与の考えです。上の例であれば、妻は形式的には夫のものである退職金をその貢献度に応じて財産分与の対象とすることができます。
また、離婚後に片方の配偶者の年金保険料の納付実績の 一部を分割し、それをもう片方の配偶者が受け取れる年金分割制度も考えられます。これも基本的に財産分与と同じような考え方で、仕事をしている夫のみが年金を受給しているのに対し、「裏の仕事」のように家事をしていた妻が受け取れないのは不公平だとい う考えに立っています。
以上のように、熟年離婚は、その他の離婚とは離婚後の就労等が困難である点で異なること、そのため離婚後の生活を支えるような財産分与請求や年金分割制度といった制度をしっかり活用して今後の生活を検討してく必要が あることをお伝えしました。これからますます高齢化が進み熟年離婚も増えていくのではないかと思われます。その意味で、誰にでも熟年離婚をする可能性はあるわけで、これらのことを頭に入れておくと良いでしょう。
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柳原 桑子Yanagihara Kuwako
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