特別縁故者とは、法定相続人がいない被相続人(亡くなった人)と特別親しい関係であったため、財産を取得できる人のことです。
被相続人に法定相続人が存在せず、遺言書もない場合、財産は最終的に国庫に帰属することになります。
しかし、特別な縁故があった人がいる場合、財産分与が行われる可能性があります。
本稿では、特別縁故者になれる人の要件、申立方法や注意点などについて解説します。
特別縁故者になれるのはどんな人?
民法で定められたいずれかの要件に該当すれば、特別縁故者になれるかもしれません。
被相続人と生計を同じくしていた者
被相続人と同一生計の人、例えば内縁の配偶者や事実上の親子関係にある人は特別縁故者と認められる場合があります。
亡くなった子供の配偶者が認められるケースもあります。
被相続人の療養看護に努めた者
被相続人の介護や看護を献身的に行った人も該当する可能性があります。
ただし、職業として報酬を受けていた介護士や看護師、家政婦などは原則対象外です。
その他被相続人と特別の縁故があった者
上記に該当しなくても、被相続人と親密な交流があったと裁判所によって認められた人は、特別縁故者になる場合もあります。
例えば、被相続人が財産を譲り渡す意思表示をしていた人や、経済的支援を受けていた人が該当します。
被相続人が、生前深く関わっていた法人や団体が認められるケースもあります。
特別縁故者の申立方法
まず家庭裁判所に、財産の管理や清算・分与を行う相続財産管理人の選任申立をします。
その後、官報に2か月間、相続財産管理人選任の情報が掲載され、さらに相続人の捜索に関する情報が6か月以上公告されます。
相続人が存在しないと確定した後3か月以内に、特別縁故者に対する相続財産分与の申立をします。
特別縁故者になる時の注意点
特別縁故者が財産を受け取ると、相続税が高額になる可能性があります。
法定相続人の相続税の基礎控除額は3,600万円以上ですが、特別縁故者の場合はその額が低く設定されており、3,000万円以上を相続すると相続税が発生します。
また、相続税額は法定相続人の1.2倍になります。
不動産を相続した場合には不動産取得税もかかります。
未成年者控除、障害者控除、相次相続控除、小規模宅地等の特例などは対象外であるため適用されません。
まとめ
特別縁故者になれるのは、被相続人と同一生計だった人や療養看護に努めた人、または特別な関係があったと家庭裁判所が認める人です。
特別縁故者として財産を受け取ると、高額な税金がかかる可能性があります。
特別縁故者の申立については、専門家である弁護士への相談をおすすめします。
柳原法律事務所(東京都武蔵野市)|特別縁故者になれるのはどんな人?申立方法や注意点も併せて解説