遺言書に「全ての財産を長男に相続させる」などの偏った内容が記載されていた場合、遺留分の請求はどうなるのでしょうか。
今回は、遺言書があっても遺留分の請求はできるかを解説していきたいと思います。
遺留分とは?
遺留分とは、一定の相続人に認められた、法律上保障されている遺産の最低限の取り分のことをいいます。
一定の相続人とは、配偶者、子ども、直系尊属(両親や祖父母など)になり、兄弟姉妹には遺留分は認められていません。
被相続人の子どもが死亡しており、孫が代襲相続人となる場合には、孫にも遺留分が認められています。
それぞれの相続人の具体的な遺留分の割合は、誰が相続人となるのかと、何人で遺産を相続するのかによって異なります。
遺言があっても遺留分の請求はできる?
相続人は、遺言書の内容に関わらず、遺留分を受け取る権利があるため、遺留分侵害額請求により遺留分の請求をすることができます。
たとえば、全ての財産を長男に相続させる、といった内容の記載が遺言書にあり、そのまま長男が相続人である他の兄弟に財産を渡さず、そのことについて他の兄弟は納得がいかなかった場合、他の兄弟は長男に対して遺留分を請求していくことになります。
遺留分を請求する流れ
遺留分の請求については、以下のような流れで行っていきます。
- 内容証明郵便などによる遺留分侵害額請求
- 遺留分権利者との協議や話し合い
- 協議がまとまらない場合、遺留分侵害額請求調停を申し立てる
- 調停が不成立の場合、遺留分侵害額請求訴訟を提起する
遺留分侵害額の請求には、相続の開始と遺留分を侵害された事実を知った時から1年の時効が定められているため、遺留分が侵害されていることを知ったら、早めに動く必要があります。
また、遺留分侵害額請求をすると、このことにより具体的な金額の金銭を支払いを請求する権利が発生します。
この権利についても5年の時効があり、遺留分侵害額請求をしても相手方が金銭を支払ってくれない場合、時効にかかってしまう可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
今回は、遺言書があっても遺留分の請求はできるかについて確認してきました。
遺留分の請求については時効があるため、遺留分の請求をしたいと考えた場合には早めに行動にうつすことが必要です。
また、遺留分侵害額請求については、専門的な知識が必要になりますので、弁護士へ相談することを検討してみてください。
柳原法律事務所(東京都武蔵野市)|【弁護士が解説】遺言書があっても遺留分の請求はできるか